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ステロイド「使いたくない」患者-子どもで71%!

ステロイド「使いたくない」患者-子どもで71%!

  2014年2~3月、アレルギー疾患の治療実態について医師・患者両面から大規模調査を厚労科研・アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究班が行いました。    http://reports.qlifepro.com/allergy2014/dermatitis/
 有効回答は医師1052人(15%)、患者8240人でした。

 すると、ステロイドを「使いたくない」患者が多数派で、患者の65%:成人で59%、小児で71%の方が「使いたくない」という結果でした

 以下が結果です。

①いまだにステロイド「使いたくない」患者が多数派

診療ガイドラインでは、皮膚症状の程度に応じた適切なランクと使用量を具体的に示して、ステロイド外用剤の使用を推奨しています。症状がある場合には、ステロイド外用剤による治療が必要です。
ところが実態(※)は、患者の65%(成人で59%、小児で71%)が、ステロイドを「使いたくない/どちらかというと使いたくない」としています。

②外用剤を「できるだけ薄くのばす」方がよいとの誤解が多い

診療ガイドラインでは、これを推奨していません。なぜなら外用剤は治療段階に応じて適切な量を使用することが重要であり、「できるだけ薄くのばそう」とするのは使用量が減ったり変動するため、望ましくありません。
ところが実態(※)は、医師の23%がステロイド薬を「できるだけ薄くのばして塗るよう指導」し、患者の56%も医師からそのように指導されていると回答しています。

③1割が「入浴時の石けん不使用」

診療ガイドラインでは、石けんの使用が皮膚症状を悪化させるとは考えておらず、標準的には石けん使用を禁止していません。
ところが実態(※)は、医師の8%が「入浴時の石鹸使用は皮膚を悪化させるので禁止」しており、患者の12%(成人で12%、小児で12%)も「入浴時に石けんを使用しない」よう主治医から指導を受けているようです。ただし成人の29%、小児の33%は、診療ガイドライン通り「石けんを使用する」よう指導されています。


 この結果をみて、ステロイド治療する医師は「バイアスがかかっている」と言っています。ネットでのアンケートなので確かにその通りです。
 しかし、どういう患者がこれに回答したかを考えると、ステロイド治療する医師たちから、あるいはステロイドを推奨する患者団体から情報を得た患者たちと考えるのが普通ではないでしょうか。研究班は実際アンケート結果をみて恐らくこんな結果になるとは思っていなかったのではないのではと思います。

 それではこの研究班の構成をみてみます。

 この研究班には、成育医療センターから4人の医師・研究員、相模原病院から3人の医師、その他の病院等から3人の医師が参加しています。これらの諸先生方は、勿論ステロイド治療最先端の先生方だということは言わずもがなでしょう。

 患者代表として、日本患者会情報センター代表 栗山真理子さんが入っておられます。http://www.kanjyakai.net/about/guide.html をみると、「東京大学医療政策人材養成講座1期生有志が中心となり立ち上げた」と書かれています。しかし、研究・活動実績は2007年10月~以降記載はありません。日本患者会情報センターニュースも2013/2/20以降ありません。どういう活動をしているのでしょうか?2年半も活動報告を出していない患者団体だということです。
 更に、栗山さんはNPO法人アラジーポット専務理事をされています。2人の子どもにアレルギー疾患があったことから、学校でのアレルギーの正しい理解のための社会基盤の整備を目指し2002年にアラジーポットを設立したと記載され、同時に、国立成育医療研究センターでは患者の立場で共同研究員となっています。アラジーポットと検索するとhttp://www.jaanet.org/patient/meet/日本アレルギー協会が出てきました。この中では7つの患者会が紹介されています。アラジーポットもそのうちの一つです。すべての患者会が、ガイドラインを広めるという患者会です。

 アンケートに受診している病院の記載欄があれば、もっとはっきりわかったのではないでしょうか。

結論はステロイドは支持されていない治療だと言えます。

 そうすると次に考えるべきことは、今の治療法が受け入れられないのは何故かという問いだと思います。

 最近は、マスコミも一丸となって標準治療の宣伝に明け暮れているのは周知の事実です。今から20年以上も前の久米宏のニュースステーションの話など、今の患者たちは知りもしない。日本全国での講演会も、メーカーがお金を出している場合も多々あるわけですが、「1FTUを手のひら2枚分」「ティッシュを張り付けて落ちないぐらいにたっぷりと」を宣伝しているのにもかかわらず、使いたくないという患者が多いのは何故か?ということを真摯に考える必要があるということです。

 2番目の塗り方の問題ですが、8月の外来小児科学会での一般演題で成育の先生が、患者のステロイドに対する不安度調査をしたという報告をされました。不安の中身は「副作用」と「塗りすぎているのではないか」ということだそうです。(この件は改めて報告します)

 1日3回この塗り方で塗ると、3~6か月の赤ちゃんなら(全身に塗る―湿疹が出てないところにも) 1回3g1日9g 1週間だと63gという途方もない量になります。5gのチューブを12~3本、1週間で使うという塗り方です。1か月塗ると50本になります。大きい子なら、もっとたくさんのステロイドが必要です。日本全国たくさんのステロイドが処方されると、どこに利益が入るか?

 1か月ぐらいしか塗ってないのに止めたら悪化する赤ちゃんを診ていると、ステロイドの副作用が出ない素晴らしい塗り方なのかと心配になります。

 3番目の「入浴時の石鹸不使用」ですが、ステロイドを使う場合はしっかり洗って汚れを取り、その上からステロイドを塗るというのが恐らく正解でしょう。

 しかし、ステロイドを塗らない治療をする場合は、皮脂を落とさない、かさぶたを落とさないことが重要なんです。
 
 その点に違いがあります

 お風呂も毎日入り、石鹸できれいに洗うということが始まったのは、内風呂ができてからです。それまではお風呂屋さんへ行っていました、お金を持って。毎日行きません。人類の歴史を考えても、今の事態はもしかしたら異常な事態なのかもしれません。お風呂に入らず、石鹸も使わないという環境になじんだ皮膚にとって

 さらに最近は医師の間でも、石鹸を使わない洗い方を患者に勧める先生も目立つようになっています。
プロフィール

佐藤美津子

Author:佐藤美津子
FC2ブログへようこそ!
赤ちゃんや子どものアトピー・乳児湿疹にステロイドを使わない治療をしています。連れ合いと共に広めていきたいと思います。
出身は和歌山、梅で知られているみなべ町。大学入学後、大阪に移り住みもうすっかり大阪人。

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