最後の砦ー患者の思いを大切にしたい!

「かなりステロイド外用の処方に慎重な小児科医、皮膚科医でも、成長障害を生じているような重症乳児湿疹の患者さんにはステロイド外用を使います。
先生ほどステロイド外用を使わない方は、まずいません。
なぜなら、成長障害がでているということは、身体の発育、脳の発育に著しく影響を与えているからです。
そういった状態を放置して、ただ食べさせれば良いというのはいかがなものでしよう?」
というご質問を頂きました。この方の背景はわかりませんが、アトピーとは無縁の方のような気がします。

まず、「思い切ってやってみよう」に書かせていただいたあとぴっこは、アトピーの程度は非常に軽症でした。重症のアトピーで体重が増えなかったのではありません。
そこに書いたように、「怖かった」のではないかと思います。
「大人と同じ味付けや同じ食材を食べさせて赤ちゃんの体にいいのか」ということと二つ目「アレルギー反応(アナフィラキシーショック)が起こらないか」三つ目「母乳に関する誤った考え」があります。先ほどのあとぴっこは、前2者で心配されていました。

私たちのもとで生後2~3か月から治療されているあとぴっこたちの中には、なかなか食べさせる決心がつかないとか、決心がついても美味しい離乳食を食べさせることが出来なくって体重が伸び悩む赤ちゃんがいます。しかし、粘り強く説明しているとほとんどの方が体重が増えだします。「体重が減ると入院やで」と脅かしているせいもあるかもしれませんが(笑)

しかし、当院を経由して阪南中央病院に入院するあとぴっこのかなりの方は、実はすでに体重が増えない状態で、あるいは体重が減った状態で受診される方が多いんですね。もちろん発達にも問題があります。

昨年はいろいろな方がいました。

ファックスでどうすればよいかとの質問がありました。生後5か月7.5kgが9か月時6kgに減少し、翌日大学病院に入院することになっている関東の方からでした。こういうファックスが入るということは「ステロイドを使いたくない」ということです。阪南中央病院に連絡し、すぐに受け入れてもらえました。食べさせてなかったんですね。涙も出ないほどの脱水でした。入院し離乳食を食べて、20日ぐらいで7kgになって退院しました。11か月では8.5kg、つるつるだねって言われたそうです。発達も問題ないと近隣の病院の先生に言ってもらったそうです。この赤ちゃんも重症のアトピーではありませんでした。顔はじくじくしていましたが。

このあとぴっこ以外にも何人かいました。このホームページのフォーラム、ツイッター、電話、ファックス・・さまざまな媒体を使ってステロイドを使いたくないというご家族から連絡が入ります。このatopicのフォーラム「7カ月 カポジ水痘症で入院していますhttp://atopic.info/forum/topic/300#post-1012」の中のあとぴっこはアルブミンの値が1.7gという非常な低値でしたが、何とかステロイドを使わずミルクと離乳食で危機を乗り越えました。また、患者体験談http://ameblo.jp/atopic0709/theme5-10053042372.html にもアルブミンが1.7gの低値の赤ちゃんの経過が載っています。

結論から言うと、母乳で体重が増えない場合、ミルクに変えたり、ミルクを追加したり、離乳食を4か月から始めたりときちんと対応をすると、重症の赤ちゃんでも体重が増えるということです。この質問をされた方はあまり実際をご存じないー当院や阪南中央病院での治療の実際をご存じないのだと思います。

更に一番心配なこと、それは成長障害があれば、「脳の発育に著しく影響を与えている」かどうかです。この質問者が言っているように、そういう状態で普通の病院を受診すると、「命に関わる」「発育に影響ある」と言われ、「ステロイドを塗らないといけない」と言われます。たいていの日本の医学系雑誌には「ステロイドを拒否して、体重増加不良、電解質バランスが崩れ、低アルブミン血症で入院し、ステロイドを塗って治った」というケースばかりが載っています。

しかし、私たちのところを受診する患者たちは、最後のよりどころとして門をたたきます。門をたたいた時に「ステロイドを塗りましょう」なんて言えるわけがありません

実は佐藤小児科や阪南中央病院でも今のところまとめた報告はありませんが、先日、患者のMRIを読影していただいた放射線科医に「低たんぱく血症になると脳に影響が出るとよく言われるんです。どうなんでしょうか?」と聞いてみました。その先生はその場でも「画像上は影響ないのでは」とおっしゃったのですが、後から調べていただいたようで再度「画像上は変化が出ない」と知らせてくださいました。ということは「画像上、脳の萎縮はない」ということです。

確かに、発育・発達が遅れているあとぴっこはいますし、その状態に驚くこともあります。たんぱく質を制限されていた1歳過ぎのあとぴっこで寝たきり状態だった子もいました。体重は5kg台でした。同じように筋力が全くない発達が遅れた1歳前のあとぴっこもいました。その場合はアトピーなんかよりも、「食べさせる・鍛える」ことが緊急の課題になります。今そのあとぴっこたちがどうなっていくか見守っているところです。受診時よりは発育・発達は伸びています。

体重が増えないあとぴっこは非常に気になりますが、キャッチアップして発達も問題ない状態になっていく方が多く、あの心配はなんだったんだろうと思います。

結論は、体重が増えない状態が続き発達も遅れた赤ちゃんでも食べて鍛えれば大丈夫ということが経験上言えるのではないかと考えています。取り戻すことができるのではと感じています

しかし、まずそういう状態にしないことー思い切って美味しいものを食べさせるということ、かわいがって鍛えるということーが一番重要だということです。

多くの赤ちゃんの経験から、私たちを受診する方は恐らく氷山の一角だろうと思います。日本全国に発育・発達に問題のある赤ちゃんがたくさんいるのではないかという危機感を持っています。ステロイド一辺倒の治療でなく、使わない選択肢もあるということ、またアレルギー説で親を追い込まない治療が保障されない限り、こういう赤ちゃんはなくならないのではないか

と考えるとこの責任はどこにあるかが明白です。
プロフィール

Author:佐藤美津子
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赤ちゃんや子どものアトピー・乳児湿疹にステロイドを使わない治療をしています。連れ合いと共に広めていきたいと思います。
出身は和歌山、梅で知られているみなべ町。大学入学後、大阪に移り住みもうすっかり大阪人。

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