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外用ステロイドを使わなくても「保湿依存」はある

>外用ステロイドを使わなくても「保湿依存」はある

 外用ステロイドを中止すると、麻薬中止時の時のような「禁断症状」が皮膚に出ます。いわゆる「リバウンド」です。皮膚のステロイド産生能が外用ステロイドで抑制された結果、外用ステロイドが無いと駄目な皮膚になっている状態になります。この時に、多くの患者は「保湿依存」にも陥っています。保湿を中止すると、やはり「リバウンド」が起こります。

 1年程前、脱ステ後の子どもでも、保湿を止めた途端、重症のリバウンドが起こった1歳児もいました。少し軽快するのに、1か月もかかりました。徐々に止めればよかったと反省しました。

 外用ステロイドを使っていた子どもだけに、保湿依存が起こると、当初考えていましたが、そうではないという子どもがちらほらいることに気づきました。

 一番最初の子どもは、保湿剤を1時間ごと塗っていた赤ちゃんでした。塗らないと「パリパリ」になると母親は言いました。もう20年ぐらい前です。この時には、保湿依存という言葉は思い浮かびませんでした。

 その後、ステロイドを使わず治療していた子どもが、肘関節のアトピーがなかなか良くならず、上の赤ちゃんの事を思い出し、もしかしたら「保湿依存」?と、思い至りました。ある時、プール後に肘関節が腫れて受診されました。肘の状態は赤黒く湿っぽい感じでした。母親に、保湿を止めたほうが良くなるかもと説明し、片方の腕だけ保湿しないで様子を見てもらいました。「パリパリ」になっても、我慢して塗らないでと頼んだところ、結果的に塗らないほうが良くなり、全部塗るのを止めました。

 最近も、保湿依存になっている赤ちゃんがいました。皮膚を見てみると、とにかく「赤い」。聞くと、保湿剤を1日5∼6回全身に塗っておられました。しかもお風呂で1日2回洗っていました。自分の皮脂を洗い流し、保湿をするということは、皮脂を出さなくていいと皮膚が認識してしまうことになります。しかも皮膚が赤いと、痒みは増すはずです。

 佐藤小児科を受診する方でステロイドを塗ってない方については、保湿をしていただく事もありますが、1日せいぜい2回以下にしていただいています。

 皮膚科学会のガイドラインには「治す薬は無い」と書かれています。外用ステロイドでも治らないし、保湿剤でも治らないということです。中には保湿剤を必死に塗り、自分の子どもに合った保湿剤を探す方もいます。以前ラバンナという会社が出していたnoatoクリームには、最強のステロイドが混入されていましたが(http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20080716_3.html)、これに騙された方もいました。ステロイドは入ってないという話でしたが、悪質な会社ですね。

 この赤ちゃんには、お風呂を減らし、保湿剤の塗布を減量していく方がいいのではと思い、まず回数を減らしていくようにと相談しました。

何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
プロフィール

佐藤美津子

Author:佐藤美津子
FC2ブログへようこそ!
赤ちゃんや子どものアトピー・乳児湿疹にステロイドを使わない治療をしています。連れ合いと共に広めていきたいと思います。
出身は和歌山、梅で知られているみなべ町。大学入学後、大阪に移り住みもうすっかり大阪人。

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